『ひとり』インタビュー
ー今作はどのような経緯で作られたのでしょうか?
より自由に瞬発力のあるものを作りたいと思ったからです。
「PLAYBOY」はビートルズのアンソロジーをイメージしていました。
今回はボイスメモやテレコで録ったような質感を考えていました。
発表する勢い、勇気、タイミングを含めたものになっていると思います。
つまり、「空気感」です。
ー「ひとり」というタイトルについては?
孤独だからです。
作るとき歌うときは。
ーどのように作りましたか?
部屋中に楽器やおもちゃを転がします。
そして録音ボタンを押して楽器を弾いて歌います。
録音ボタンを押すまでは何も決めずに考えずにやります。
という感じです。
ー「ひとり」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
ソロでライブをやる時は煮ても焼いても食べられないようなアイデアが次から次に出てくるのでその瞬発力みたいなものを録音しておきたいと思ったからです。
先ほど話した部屋に転がしたものの中には前に録ったドラムのテイクのテープも
あったのでその上にシンセベースを重ねたりしてます。
ーラジオが聞こえます。
録音当日の関東渋滞情報と何かのキャンペーンですね。
そのタイミングでかかった、これはセッションです。
ドラムマシンが重なるだけでラジオのお姉さんが歌ったりラップしているように聞こえます。
ー支離滅裂ですが。
はい。
例えば「プラスチックみたいでいいね」という曲は
Aという曲のメロディとBという曲のバッキングを合わせてあるものです。
最後に合体します。
ーカセットで出す理由はなんでしょう?
僕が今やっている作業を考えると一番相性が良いからです。
テンポも不正確で、その日の気温、湿度などで変わる。
自分が作ったものから聞く人の耳に届くまで一貫して不正確です。
そして手軽です。コンパクトでかわいいです。それだけです。
ー不思議な感覚を覚えます。
買ってしまうと、手に入れてしまうと失われるものってあると思うんです。
ウインドウ越しの宝石、ウォッチリストに入ったままのレコードとか。
その時にある、手に入れたいけど自分のものじゃない感じ。
これが僕にとっての音楽です。
こんなもの世に出すべきじゃないという声もあると思いますが、
こんなもの世に出そうと真剣に思って作っている気持ちを大事にしていきたいです。
それをロック魂、パンク魂と呼んでいただいて構いません。
ーありがとうございました。最後に一言お願いします。
目が覚めたとき時計を見た。
針は3時を指している。
外の景色は分からない。
そんな時、昼と感じるか真夜中と感じるか。
寝坊したとか、こんな時間まで寝てしまったとかありますが。
いったんそれは置いておいて、今は3時なんです。
というメッセージを僕は音楽から受け取ります。
完璧な調和のとれたクラシック音楽を不協和音と感じたり、
まるでチューニングの合っていないブルースを完璧に美しい音楽と感じたり。
好きにやっていいと思います。
その場にあるものだけで新しい遊びを開発する。
それがきっととても楽しいことだと思います。